お薦めデザイン書籍【製図・割出図編】

2019年から大阪市立デザイン教育研究所で『クリエイティブ・ディレクション』という授業を担当し、同時にポートフォリオの指導会でもレビューをしていることもあり、デザイナーを目指す学生と接する機会が増えました。個別のデザイン・表現の前に、作品をまとめる際に最低限気をつけて欲しい内容を、初学者向けの『お薦めのデザイン書籍』としてまとめています。

最近はプロダクトのデザインもCGイメージで表現するのが主流だと思うので、学生さんの作品は一見すると綺麗にまとまっていて関心します。CGで見せる時は様々なアングルの中から、自分が一番綺麗だと思う角度を選んでレンダリングすると思います。そうすると見えない後ろ側の面とか、形状の嵌合のディティールとか、そうした部分が(良くも悪くも)隠れてしまう事が多いと思います。

ポートフォリオの中に2Dの図面を掲載するのは、そうした見えない部分がどうなってるのかを示すという観点でもとても良いことだと思います。その時に気になるのは、図面を入れるならせめて縮尺と単位くらいは入れましょう、という点です。
縮尺と単位が無いと、図面っぽいイラストレーションなのかなぁ?とか、図面が描けない・読めない人なのかなぁ?とか邪推してしまいます。なので最低限の製図のルールみたいなものはきちんと描けると尚いいのではと思います。

1.『デザインの製図』

そういう時におすすめしたいのは『デザインの製図』という本で、副題に「デザインを学び始めた人のための」とあるように、製図について網羅的にわかりやすく説明してくれます。

デザイン分野の図学・製図の歴史や背景から製図用具の種類、説明、使い方までくわしく教えてくれます。
第4章の製図の基本では、線の種類とその役割についてまとめた表もあり、その後には実例を載せてあるので実践的にわかりやすい構成になっています。
青と黒の2色刷なので、例として掲載されている図面もとてもわかりやすく、見やすいのも特長です。

その他、マーカーレンダリングやパッケージ展開図、ポスターの図学解析もあって製図的な手法をもちいたデザインの応用例も豊富です。
もちろん機械製図のもっと詳しい本は他にもありますが、初めて学ぶ人が難なく読めて、理解・実践できるという点では、とても良い本だと思います。

2.『Balance in Design』

皆さんデザインをする時、どうやって全体のおおまかなプロポーションを決めますか?
この『Balance in Design』という本は、なんとなく配置していくよりも、基準を決めて相対的な位置関係やバランスを考えながらデザインしていくと綺麗におさまるのでは、という観点を教えてくれます。一つ前の『デザインの製図』の中でもポスターの図学解析に例がひとつ載っていましたが、その解析の例をプロダクトやグラフィックなど色々なジャンルを横断して見せてくれます。

人体のプロポーション、黄金比などの基礎的な内容からはじまり、後半にはデザインの視覚解析としてデザインの名作と言われるさまざまな作品について、解析した結果をみせてくれます。

作品写真の前のページにはトレーシングペーパーがあって、解析したグリッドが載っているので前後にめくりながら比較するとよりわかりやすいです。
作品としてはバウハウス展のポスター、バルセロナチェア、ブラウンのハンドミキサーからVWのビートルまで様々で見ていても飽きません。

こちらも増補改訂版がでているので新しいほうが内容が充実していいのではと思います。

3.『Typographic Systems』

レイアウトや割り出しに役に立ちそうなのが『Typographic Systems―美しい文字レイアウト、8つのシステム』。
美しいレイアウトを生み出すために必要なのは、グリッド(システム)以外にも、こんなにいろいろあるんだよ、と実例を交えながら教えてくれる本です。

中軸・放射・拡張・ランダム・グリッド・転調・モジュール・左右対称、という8つのシステムと、それぞれのパートにシステムを用いてつくられた実際の作品の分析が載っています。
こうした分類だけで何とかなるほど単純ではないとも思いますが、グリッドに揃えるだけじゃない、他にもこんなアプローチがあるんだな、というのがわかるのはとても楽しいのではと思います。

ちょっと古い本なのですが、古本として普通に流通しているっぽいので、興味があれば是非。

4.最後に

本の紹介にあたっての基本的なスタンスは、
・質が高く体系的に学べる
・現在も販売されている
・高価すぎない

の3点を重視しました。

あくまで「今デザインを学んでいる学生さん」が簡単に入手できるもの、という観点で選んでいますのでこれからデザインを学ぶ方に参考になれば嬉しいです。